東京都産業労働局 令和5年度中⼩企業サイバー
セキュリティ対策継続支援事業

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コラム・編集後記

“デジタルトランスフォーメーション”と“デジタル化”の関係について

テキスト内では、国の方針や計画を解説する中で”デジタルトランスフォーメーション”という言葉が随所に出てきます。それと同時に、 ”デジタル化”という言葉もあります。両者は異なる定義の言葉ですが、無関係なものではありません。

“デジタルトランスフォーメーション”は、データとデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革し、新たな価値を創出することを指します。

”デジタル化”に含まれる概念には、「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」があります。本テキストの用語集”デジタル化”に説明がありますが、デジタイゼーションはアナログや物理的な情報をデジタル化すること、デジタライゼーションはビジネスプロセスをデジタル化することを意味します。
紙で管理していた情報をシステム上に入力することでデータをデジタル化すること、紙資料で行っていたプレゼンテーションをタブレットで行うようにすることなどがデジタイゼーション、それにより業務のやり方が変化し、効率化されるなどの変化がデジタライゼーションです。

“デジタルトランスフォーメーション”は、デジタイゼーション、デジタライゼーションといった”デジタル化”の先にあるものです。”デジタル化”により課題をクリアした後に、新たな価値を創出することが”デジタルトランスフォーメーション”となります。”デジタルトランスフォーメーション”の実現に向けて、”デジタル化”は不可欠なステップです。

編集後記

セミナー3日目では、国によるデジタル社会に関する方針や政策、デジタル分野での取組みにおけるサイバーセキュリティの位置付けについて解説しました。コロナ禍により日本のデジタル化の後れが露見し、政府の方針にデジタルトランスフォーメーションの推進が盛り込まれ、デジタル庁という行政機関も設置され、デジタル社会の実現に向けて社会全体が急速に変化しつつあります。社会全体がデジタル化していくとともに、あらゆる主体にとってサイバーセキュリティ対策を含むデジタルリテラシーが重要になっていることを認識していただきたいと思います。

本テキストでは、デジタル社会の実現に向けた国の基本方針として「経済財政運営と改革の基本方針2023」と「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を、政府が目指しているデジタル社会としてSociety5.0を取り上げ、DXについては事例を交えて中小企業の優位性を解説しました。さらに、サイバーセキュリティについては、NISCの「サイバーセキュリティ戦略」などを紹介するとともに、DX with Cybersecurityの考え方などを解説しました。デジタルの活用が進むとともに、サイバー攻撃などのサイバーセキュリティのリスクも高まっています。企業は自社のIT活用状況を認識しつつ、必要な知識・スキルを身につけた人材を育成・確保することが必要です。その上で、適切なサイバーセキュリティ対策を実施しなければなりません。次回以降は、実際に組織で活用できるサイバーセキュリティ対策の体系や基準について詳しく解説していきます。