19-2-5. 第5章. デジタル社会の方向性と実現に向けた国の方針
- 5-1. 国の基本方針および実施計画の要約
- 5-2. 政府機関が目指す社会の方向性とサイバーセキュリティ課題
章の目的
第5章では、政府が発表している国の基本方針や、国が目指している社会を実現するための計画を通じて、IT、デジタル技術の活用やサイバーセキュリティ対策の方向性・課題について理解することを目的とします。
主な達成目標
- 国の基本方針にデジタルがどのように影響を与えており、それによりどのような社会を目指しているかを理解すること
- デジタル社会におけるサイバーセキュリティ対策の重要性を理解すること
主なキーワード
デジタル社会、DXの推進、サプライチェーン、DX
要旨
5章の全体概要
国によるデジタル社会に関する方針や政策、デジタル分野の取組みにおけるサイバーセキュリティの位置付けについて解説しています。政府が目指しているデジタル社会としてSociety5.0を取り上げ、DXについては事例を交えて中小企業の優位性を説明しています。
5-1. 国の基本方針および実施計画の要約
IT・セキュリティ関連の施策は、国の方針の1つである「経済財政運営と改革の基本方針」に沿った形で実施計画が策定されています。たとえば、2023年度の方針では「サプライチェーンの強靭化」、「DXの加速」が盛り込まれています。
5-2. 政府機関が目指す社会の方向性とサイバーセキュリティ課題
デジタル社会の実現に向けた重点計画
政府は「経済財政運営と改革の基本方針」に基づき「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定しています。この重点計画の中の各分野における基本的な施策の4番目の「産業のデジタル化」では「中小企業のDX 推進」や「中小企業のデジタル化の支援」が盛り込まれています。
各分野における基本的な施策
- 1.国民に対する行政サービスのデジタル化
- 2.安全・安心で便利な暮らしのデジタル化
- 3.アクセシビリティの確保
- 4.産業のデジタル化
- 5.デジタル社会を支えるシステム・技術
- 6.デジタル社会のライフスタイル・人材
「デジタル社会の実現に向けた重点計画」には、日本がデジタル社会を実現していくための政府の取組みとして、7つの戦略的な政策が掲げられています。この4番目が「サイバーセキュリティなどの安全・安心の確保」となっています。
デジタル社会を実現していくための7つの戦略的な政策
- 1.デジタル社会の実現に向けた構造改革
- 2.デジタル田園都市国家構想の実現
- 3.国際戦略の推進
- 4.サイバーセキュリティなどの安全・安心の確保
- 5.急速なAIの進歩・普及を踏まえた対応
- 6.包括的データ戦略の推進と今後の取組
- 7.Web3.0の推進
また第5章では、政府が提唱しているSociety5.0とDXの推進についても解説しました。
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Society5.0
Society5.0では、IoTですべての人とモノが繋がり、知識や情報を共有することによって、これまでにない新たな価値を生み出すとともに、社会が抱えるさまざまな課題を解決の方向に導きます。一方で、Society5.0におけるサイバー空間の急激な拡大は、サイバー攻撃の対象が増えることを示しています。サイバー空間とフィジカル空間の相互作用により、サイバー攻撃がフィジカル空間にも影響を及ぼす可能性が高まります。 -
DXの推進
DXの推進における中小企業の優位性について説明しています。中小企業の中には、DXを推進し、売上高を5倍、利益を50倍に増加させた企業が存在します。中小企業ならではの優位性を理解し積極的にDXに取組むことで、大きく成長できる可能性があります。
中小企業がデジタルトランスフォーメーション推進における優位な点
参考情報が豊富
DXを既に手掛けている中小企業や、デジタルトランスフォーメーションを順調に進めている企業のやり方を参考にすることができる
環境が整備されている
先行者や大企業などにより既に整備されたプラットフォームを利用し、新たなビジネスに取組むことができる
環境の変化に素早く対応しやすい
経営者が即断即決し、新しい取組みに臨みやすい利点がある。そのため、変革のスピードにおいて優位性を持つことができる
訴求ポイント
章を通した気づき・学び
デジタルの活用が進むとともに、サイバー攻撃などのサイバーセキュリティのリスクも高まっています。企業は自社のIT活用状況を認識しつつ、必要な知識・スキルを身につけた人材を育成・確保することが必要です。
認識していただきたい実施概要
- 政府が発表している国の基本方針や、国が目指している社会を実現するための計画を通じて、IT、デジタル、サイバーセキュリティの方向性・課題について学ぶこと。
- 中小企業ならではの優位性を理解し、積極的にDXに取組むことが組織を成長させるために重要であること。
実践のために参考となる文献(参考文献)