4-2-3. ITを活用した生産性の向上(デジタルオプティマイゼーション)
「守りのIT投資」:デジタルオプティマイゼーション
現代の市場は絶えず変化し続けており、その市場の変化に迅速に対応するため、業務を変革させ、生産性を向上させることが企業にとって重要な課題となっています。生産性を向上させるためには、ITの活用が不可欠であり、「守りのIT投資」、デジタルオプティマイゼーションがその一つとして注目されています。
必要な理由
業務効率化・コスト削減
たとえば請求業務はこれまで、表計算ソフトウェアや紙などを使用して手作業で業務を行ってきましたが、その業務には時間がかかってしまう課題が生じていました。そこで、たとえば電子契約サービスを導入することで、紙で文書を作成し、その文書に直接押印するというプロセスを省くことができ、業務プロセスを効率化することが期待できます。この改善により、従来の業務にかかっていた時間を短縮し、その削減された時間を他の業務に充てることが可能になります。
デジタル活用するための環境整備
デジタルトランスフォーメーションを実現するには、データの活用が不可欠です。これまでの業務では、表計算ソフトウェアや紙を使用していたため、データを有効に活用することが難しい状況でした。しかし、守りのIT投資を行うことで、データを収集・利用する環境を整えることが可能です。これにより、将来的にデジタルトランスフォーメーションを実施する際の障壁を低減することができます。
「守りのIT投資」には、以下のようなものがあります。
- 定期的なシステム更新サイクル
- ITによる業務効率化/コスト削減・法規制対応など
進め方
手順1:業務内容・業務フローの可視化
現在の業務プロセスやフローを明確にし、可視化することで全体像を把握します。
手順2:削減・短縮可能な業務の洗い出し
可視化された業務から、削減や短縮が可能な業務を特定します。
手順3:改善や対応の実施
洗い出された業務の中から、優先度や重要度に基づいて順位付けを行い、事前に計画した改善策や対応を実施します。
手順4:業務改革の実現
業務の効率化や品質向上を実現します。
事例:某エンジニア商社(東京都・製造業)
東京のオフィスに通勤していましたが、新型コロナウイルスの影響により、テレワークへの切り替えを迫られました。書類処理のため、交代で出社しなければならない問題がありましたが、出社が必要な業務をRPAに切り替えていくことができたため、暫定的にテレワークに移行することができました。その後、問題が特に生じなかったため、三つの拠点を一つに統合し、一つの拠点とテレワークに集約することができました。
手順1:業務内容・業務フローの可視化
問題となる業務は、「会社に出社し、お客様や仕入れ先様からFAXで届いた見積書や注文書に対して、紙で返信する業務」であることが判明しました。
手順2:削減・短縮可能な業務の洗い出し
紙ベースの書類を電子データに切り替えることで、出社する手間を削減しました。
手順3:改善や対応の実施
RPAを導入し、FAXデータをPDFファイルに変更しサーバに保存することで、パソコンからどこからでもアクセス可能になりました。
手順4:業務改革の実現
出社する必要が激減し、完全テレワークが実現しました。
図23. RPAのイメージ図