1-1.デジタル時代の社会変革とIT情勢の関係性
現代社会は、急速な技術革新と経済のグローバル化によって大きな変化を迎えています。この変化の中で、日本ではSociety5.0という新たな社会モデルの実現が提唱されています。Society5.0は、人間とデジタル技術の融合により、持続可能な社会の実現を目指すものです。この概念は、日本が先導する次世代社会のビジョンであり、DXがその実現に向けた重要な手段となることが期待されています。
Society5.0では、革新的なデジタル技術を活用して、社会の課題を解決し、人々の暮らしを向上させることが求められます。具体的には、AI(人工知能)、ビッグデータ、IoT(Internet of Things)、ロボット工学、クラウドコンピューティングなどのテクノロジーが駆使され、効率的な社会システムや持続可能な産業構造の構築が進められます。
しかしながら、Society5.0を実現するためには、企業や組織がDXを進め、デジタル化を推進することが不可欠です。DXは、従来のビジネスモデルやプロセスに対する革新的なアプローチであり、さまざまな利点をもたらします。また、大企業と比べ人手や予算などの企業リソースが限定されている中小企業こそ、新たなサービスを創造し、ビジネスを発展させるために、DXを推進することが重要です。
ここでは、DXの定義を紹介し、DXの概要を説明します。
また、DXを推進するにあたり、「知識」「人材」「セキュリティ」の3点が重要なキーワードとなります。
令和4年11月にオープンAIがChatGPTを公開したことをきっかけに、生成AIブームが起きています。ここでは生成AIとセキュリティの関連について説明します。
従来のAIが、大量の学習データをもとに結果を予測し、ある行為を自動的に実行していたのに対して、生成AIは人間が与えていない情報やデータから新たなコンテンツを生み出すことができる点で大きな違いがあります。
このように、生成AIを活用することによって、多くの業務プロセスを効率化することが可能です。
また、情報漏えいのリスクもあります。これは、業務上の機密情報や、個人情報を生成AIに入力してしまうリスクです。生成AIに送信された情報は、提供元の開発者に見られてしまったり、学習データとして使われたりして、情報漏えいにつながってしまう可能性があります。漏えいしてはいけない情報は、生成AIには入力しないように気をつけましょう。