3-1. 国の基本方針および実施計画の要約
国の方針の1つである「経済財政運営と改革の基本方針」は、政府の経済財政政策に関する基本的な方針を示すとともに、経済、財政、行政、社会などの分野における改革の重要性とその方向性を示すものです。この方針は通称「骨太の方針」と言われています。
各省庁の利害を超えて官邸主導で改革を進めるため、内閣総理大臣が議長を務める経済財政諮問会議において毎年策定します。
ITおよびセキュリティ関連の施策についてもこの基本方針に沿った形で実施計画が策定されています。
ここでは、令和6年に策定された基本方針の中から、特にIT戦略に関係する内容について説明します。
②構造的価格転嫁の実現
③成長分野への戦略的な投資
④スタートアップネットワークの形成
⑤新技術の徹底した社会実装
②誰もが活躍できるWell-beingが高い社会の実現
③経済・財政・社会保障の持続可能性の確保
④地域ごとの特性・成長資源を活かした持続可能な地域社会の形成
⑤海外の成長市場との連結性向上とエネルギー構造転換
デジタル技術の活用 AIやロボットなどの自動化技術を導入することで、中堅・中小企業の生産性向上と業務効率化を目指しています。特に、人手不足が深刻な業種においては、これらの技術の利用拡大が推奨されています。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することで、新たな市場の開拓や企業間のデータ共有と連携を促進するための基盤整備が進められています。このため、企業情報や支援ニーズを集約したマッチングプラットフォームの運用が2024年度中に開始される予定です。
デジタル・ガバメントの強化 行政サービスのデジタル化も重要な施策の一つです。公的基礎情報のデータベース化や事業者向け共通認証システムの普及により、ワンストップでの行政手続を可能にし、国民の利便性を大幅に向上させることが計画されています。これにより、行政運営の効率化も図られ、地方公共団体や民間企業との連携が強化されることが期待されます。特に、地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化、公共部門のシステムの共通化とモダン化を推進することとされています。
サイバーセキュリティの強化 「サイバーセキュリティ戦略」に基づき、官民連携によるサイバーセキュリティ演習や実践的な侵入テストを実施することで、重要インフラのセキュリティ対策の強化が目指されています。また、フィッシング対策の強化や、IoT機器のセキュリティ要件の評価制度の導入も進められています。これにより、デジタル社会の安全性が確保され、安心してデジタル技術を利用できる環境が整えられます。さらに、経済安全保障の観点からもセキュリティ対策が強化されています。国際連携を通じて、重要物資の安定供給を確保し、先端技術の流出防止策が講じられます。これにより、日本の産業競争力と経済安全保障が強化され、持続可能な経済成長が目指されています。